LISTENING JOURNAL
YAQIN MX-111B購入
過去のブログから移した記事です。製品・価格・販売状況などの記述は元記事掲載当時のものです。
真空管アンプを購入しようと思い立ったものの、真空管アンプの音色が好みに合うかどうかが解からないので、まずは低価格なEL34かKT88を使用した中華真空管アンプ(ユニゾンリサーチを除く)にしようと、以下の候補まで絞り込んだ。
【EL34】
AH! PrimaLuna ProLogue one
AUDIO SPACE MINI-2
Unison Research SimplyFour
CAV T-6
YAQIN MX-111B
YAQIN MC-10T
【KT88】
CAV T-88
YAQIN MC-50L
どのモデルも実際に聴いた事が無いので、止むを得ずYouTubeで音色の傾向を掴む。
ただスピーカーやCDプレーヤーの組み合わせで音色は異なるし、部屋の環境も違うので、ほとんど参考にならない。
試聴をせずに好みに合いそうな音色のオーディオ機器を選定するのは、本当に難しい。
かつて、TRIODEのTRV-35SE、TRV-88SE、VP-300BDを比較試聴したことがあって、TRV-35SEが最もトランジスタアンプに音色が近いと感じていた事を思い出し、無難で好みに合っていたEL34が最有力に。
EL34の音色の印象
他の真空管に比べて細身、透明感があり、繊細で高域まで抜ける一方で、低域の量感が控えめ。
色が薄めで中庸な印象だが、高域が少しツンとしている。
KT88の音色の印象
押し出しが強く太めの音色、低域の量感があり、中域が膨らむ。
高域の抜けは悪い。
艶が多めで色彩が濃い印象。
EL34程の繊細さは無く、まったりしていて自分が持っている真空管アンプのイメージに最も近い音色。
300Bの音色の印象
柔らかく繊細で、特に中域の密度が高い。
レンジはやや狭めの印象で、低域の押し出し感が少ない。
高域に丸みがあり、独特な音素の浮遊感と中域の生っぽさに優れる。
その後、YAQINの真空管アンプ群の中でYAQIN MX-111Bが最もコストパフォーマンスが高いと云う総代理店の触れ込みを鵜呑みにして、YAQIN MX-111Bを購入した。
使用してみて、予想外だったのは、真空管アンプはまったりとした音色で、トランジスタアンプと比較して、繊細さに欠け解像度が低く、スピーカーのドライブ力に劣るという先入観が覆されたことだった。
そして、チリチリとした附帯音も無く、澄んだ音色で過剰な音色付けとは無縁であったことだ。
YAQIN MX-111Bのファーストインプレッションは次の通り。
DENONよりも太くなく、MARANTZよりも細くない音素。
暖色だが暑苦しさの無い、爽快さを感じさせる温度感を持ち美音。
繊細で粒立ちが良く、全域を通じて解像度は高い方。
ウェットで艶があり、僅かにエコー感を伴う響きがある。
定位、音像の立体感も良好で、音場の奥行きも感じられる。
また、低域の解像力に優れ、ベースラインが明確で重く沈む。
小音量時から低域の量感が稼げる。
中域は少しだけ膨らみ、高域の抜けも悪くない。
当初の真空管アンプのイメージとは異なるシャープなキレ味を持ちつつも、エッジに丸みがあり柔らかい音色で聴き疲れと無縁。
そして何より楽器を演奏している時に感じる心地良さがこのアンプにはある。
ヴァイオリンを弾いている時の、トランペットを吹いている時の、エレキギターを掻き鳴らしている時のあの感覚が伝わってくる。
そしてそれは、恐らく真空管アンプ全般に通じるものだろうと思われる。
ただし、空間を満たすような音素の拡がりは得意では無いみたい。
また、静けさは表現できるが、S/Nが低いからか無音時の闇の表現は今一歩足り無い。
柔らかめの音色が好みな方が前提になるけれど、頑張っても実売10万円程度のトランジスタアンプ位の性能だと考えて購入すれば、きっと期待を裏切らないで済むのでは無いかと思う。
EL34ならば、ランニングコストも安く抑えられるし、試してみる価値はある。
現代の真空管アンプって面白い。